道具・武器・容器・衣類 アイテム案

概要

一人でのサバイバルという前提のもと、実在の原始技術を参考にしつつ、過度に高度な技術(紡績・機織り、製鉄など)は 除外し、「手が出せる範囲で便利・快適なもの」に絞ったアイテム案です。グレードは各カテゴリ2〜4段階に留め、 必要な素材の種類が増えすぎないよう、素材を複数のアイテムで使い回しています。

本ドキュメントは検討結果であり、確定仕様書ではありません。RecipeSystem.md で検討したレシピの仕組み (工程・素材要求)を前提としていますが、本書では具体的な工程分割やYAMLの記法までは踏み込まず、 「何を、何から作るか」という内容面の整理に留めています。

一覧のアイテムは、既定では未実装の案です。 投入済みのものだけが、各節の本文で「実装済みです」と 定義ファイルの名前を添えて名乗ります(../DocumentStyle.md 4節)。

0. 素材一覧

このアイテム群全体で使う原材料は、以下のもの(+既存の食料資源の流用)に絞っています。

素材 主な入手方法 用途
石 採取 刃物・打撃部(無加工〜柄付き)
木 採取・若木を切る・伐採 柄・軸・掘り棒・槍の柄・火起こし具・板
ヤシの葉 ヤシの木から採取 編んだ葉(面が要るところの共通素材)
植物繊維 バショウ属の草を切り倒し、茎から掻き取る/ヤシの実の皮を叩き解す(コイア。皮を剥ぐのに握りの刃が要る) 糸・紐・ロープ(柄の固定・縫製)、編み材、罠
生皮 狩猟 衣類・袋(未処理、劣化しやすい)
樹皮 広葉樹から剥ぐ(握りの刃が要る。柄付きの斧では帯に剥がせない) なめし剤(生皮→なめし革への加工に使用)
獣骨・角 狩猟 掘削具の頭部(シャベル・ピック)、骨針
銅鉱石 採掘 青銅の材料
錫鉱石 採掘 青銅の材料
粘土 採取 土器
(ヤシの実) 既存の食料資源を流用 容器(無加工)
(竹) 既存の資源を流用と想定 容器(無加工)

「木」は入手方法で別々のアイテムに分かれます。 用途で分けても、同じ探索から何種類もこぼれてくるだけで、 プレイヤーが選ぶ場面は増えません。分けるのは、採るのに要る物が変わるときだけです。

アイテム 入手 用途
小枝 地面で拾う(道具不要) 焚き付け・結び・きりもみ式の錐・燃料
太い枝 地面で拾う(道具不要) 斧・ハンマー・シャベルの柄、突き銛
長い棒 若木を刃物で切る 槍・掘り棒の柄
丸太 伐採、または海岸へ打ち上げられた流木の幹の玉切り(どちらも斧が要る) 建材・薪

長い棒は拾えません。 まっすぐな2mの枯れ枝は都合よく落ちていない(反るし腐る)ので、生きた若木を切って 採ります。若木は土地の探索で見つかる設置物です。

若木も長い棒も実装済みです(src/assets/world-codex/timber.yaml)。若木は森と密林の探索で見つかり、 刃物で根元を断つと長い棒が1本採れます。若木は切れば無くなります——立ったまま何度でも採れるヤシの木・ 広葉樹の樹皮とは、そこが違います。切るのに斧は要らないので、長い棒は丸太と違って斧を待ちません。

長さの違いはかさ(volume)で効かせます。 2mの棒は持ち歩くのも籠へ入れるのもかさばる、という形で 柄の材料と差が出ます(Containers.md)。

丸太は割れば薪になります(src/assets/world-codex/firewood.yaml)。伐ったばかりの丸太は目方あたり 太い枝の半分しか熱を出さず、1本のままでは火を焚く炉の薪の上限を超えてしまいます——斧で割って薪棚で 乾かすと太い枝と同じ率になり、そこが火の系統の1日以上の山です (../engine/FireSystem.md 2.5節・ContentSkeleton.md 4節)。

大きさの違う木を兼ねさせません。 手に持って柄にする物と住居に組む物は大きさが2桁違うので、太い枝を 大きくして丸太を兼ねさせることはしません。柄にする70cmの太い枝と2mの長い棒も同じ理由で別物です。

なめし革(生皮+樹皮)・青銅(銅鉱石+錫鉱石)・板(木を楔で割って作る)・編んだ葉(ヤシの葉を編む)は、 それ自体を他のレシピの材料として使う中間素材として扱います。板は鋸を必要とせず、石の斧と楔で割る(riving) ことで作れます。編んだ葉は素手でも作れ、刃物で中軸を割ると同じ葉から2枚とれます(weaving.yaml)。

1. 道具(採取・加工用)

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 ただの石 石 加工なし。叩き石として使用
1 大きな石 石 数回打ち欠いただけの、柄なしで握って使う石器
1 石の刃物(ナイフ) 石 剥片をそのまま使用。柄は不要
2 石の斧 石 + 木 + 植物繊維 柄付け技術(紐で固定)が必要
2 石のハンマー 石 + 木 + 植物繊維 石の斧と同じ柄付け技術。打撃部の形状違い
3 青銅の斧 青銅 + 木 + 植物繊維 石の斧と同じ柄付け技術で頭部を青銅に置き換え
3 青銅のナイフ 青銅 + 木 + 植物繊維 柄をつけて強化した上位のナイフ

打ち欠いた石器と青銅の間に、磨製の段は置きません。 挟んでも開くものが1つも無いためです——丸太も 板も柄付けもグレード2の石の斧で出ており(ContentSkeleton.md 4節の系統4)、 次に線を引くのは青銅です。磨いて変わるのは切れ味と欠けにくさですが、前者は速さなので段ではなく幅で (同2節)、後者は道具が使って傷む仕組みがこの世界に無い(../engine/DurabilitySystem.md が見ているのは天候と腐敗だけです)ので、どちらも線を引きません。

1.1 火起こし具

同じ目的に対して、「材料が要らないが遅い」と「材料が要るが速い」を並べています。

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 きりもみ式の火起こし具 木(小枝と太い枝) 手で揉む。素材が拾った木だけなので、道具も紐も要らない
2 弓錐式の火起こし具 木 + 植物繊維 紐を弓に張って錐を回す。着火が速く、湿気にも強い

きりもみ式が道具も紐も要求しないことが、火スキルの最初の一歩を保証しています (../engine/SkillSystem.md 3.2 節)。

1.2 縫製・罠

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 くくり罠 植物繊維 小動物用。武器なしで狩猟を始められる
1 骨針 獣骨・角 縫製に要る。小動物の小骨からでも作れる

くくり罠と骨針は、繊維だけを起点に 繊維 → 罠 → 小動物 → 小骨・小さな生皮 → 骨針 → 縫製 という浅い経路を 作ります。槍も掘削具も経由せずに皮革へ到達できるため、大型動物の狩猟(槍が要る)は小動物の上位として 位置づきます。

2. 掘削具

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 火で硬化させた掘り棒 木(長い棒) 先端を尖らせ火で炙って硬化。木の槍と同じ技術
2 獣骨のシャベル 獣骨・角 動物の肩甲骨等をそのまま使用。狩猟が前提
2 鹿角のピック 獣骨・角 硬い地面を崩す用途。シャベルと役割が異なる
3 青銅のシャベル 青銅 + 木 + 植物繊維 道具と同じ柄付け技術で頭部を青銅に

3. 武器

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 木の槍 木(長い棒) 先端を尖らせ火で炙って硬化。掘り棒と同じ技術
2 石鏃の槍 木(長い棒) + 石 + 植物繊維 石の刃物を柄付け技術で穂先として固定
3 青銅の穂先の槍 木(長い棒) + 青銅 + 植物繊維 同じ柄付け技術で穂先を青銅に

石のハンマーは打撃武器(棍棒相当)としても兼用できるため、武器専用の棍棒は別途用意していません。

石の斧(1節)と槍は、武器としては実装済みです(src/assets/world-codex/tools.yaml)。 一撃がどこへ入るかの重み配分では斧が打ち砕く側・槍が突き通す側に寄っていて、間合い(reach)では 2mの槍だけが獣の踏み込みの外に立てます(../engine/HuntingSystem.md 1.2 節) ——構えている間は牙も噛みつきも細るので、槍が買っているのは当たり所だけではありません。

石の斧はレシピも入りました—— 太い枝を削って柄をこしらえ、尖った石を溝へ据え、紐で締め上げる並びで、上の表の「石 + 木 + 植物繊維」が そのまま工程になっています。槍のレシピも入りました——軸は若木を切って採った長い棒(0 節)で、皮を剥いで2mの軸へ 削る工程が先頭に付きます(spear)。

槍は刃物の後ろに並びます。 軸になる長い棒は刃物で採れるので斧は要らず、削り出す手つきそのものが 木材加工の腕を要求します(Skills.md 3 節)。その腕も若木を伐るところから伸びるので、 槍へ至る道は刃物1本から先が全部繋がっています。罠(1.2節)は刃物すら要らないので、獣を得る道そのものは さらに手前から開いています(狩猟の腕の入口は別で、そちらは打ちかかる手です——同 2 節)。

打ちかかる手の的も実装済みです(src/assets/world-codex/hunting_practice.yaml)。太い枝2本を骨に 組み、ヤシの葉を厚く巻いた据え物で、紐も道具も要りません——枝を拾ってヤシの木へ登れば据えられる ので、打ちかかる手は生きた獣も、繊維の連鎖も待ちません(練習がその腕の初歩の行動そのものである ことは../engine/SkillSystem.md 3.1 節)。

4. 容器

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 ヤシの実の器 ヤシの実 半分に割るだけ。多少の防水性あり
1 竹筒 竹 節の間を切り出すだけ。水を運ぶのに優秀
2 皮袋 生皮 + 植物繊維(縫製、骨針が要る) 生皮のままなら劣化・腐敗しやすい
2 皮袋(なめし革) なめし革 + 植物繊維(縫製、骨針が要る) 同じ形状だが長持ち。なめし革を使った上位互換
3 土器(本焼き) 粘土 高温での焼成が必要。真に長持ちし水も保持できる

天日干しの素焼き粘土は水には向きません(濡れると崩れる)。土器を作るなら本焼きまで行う前提とし、 素焼きの中間アイテムは別途用意していません。

土器は実装済みです(src/assets/world-codex/pottery.yaml)。草地・森林・密林の探索で粘土が 見つかり、粘土を成形して未焼成の壺にし、粘土で築いた使い捨ての覆い焼きの炉で焼くと甕に なります。乾かすのは工程ではなく、置いておく時間です(1日で乾き切ります)。濡れたまま焼くと、 残った水が水蒸気になって器を割ります——割れる確率は残った水そのもので、乾き切っていれば必ず成功します。 甕の蓋も同じ土・同じ炉です——粘土1個を平たく伸ばして焼くと蓋になり、甕へ載せている間は中身が 蒸発しません(../engine/LiquidContainerSystem.md 6.2節)。 乾かす時間も焼ける速さも壺と共有するので、一緒に炉へ入れて一度に焼けます。料理の炉では焼けません——石囲いの炉に壺を燃料ごと埋める空間が無いためで、 焼成の炉は火力ではなく「何を火に載せられるか」の枠で分けています (../engine/FireSystem.md 6 節)。

焼成の設備は覆い焼きだけで、上位の恒久窯は足しません。 焼成レンガの窯は、それを焼く窯が先に要る (覆い焼き → レンガ → 恒久窯)ので順序ごと足すことになりますが、それで開くのは「同じ素焼きを、 覆いを作り直さずに焼ける」ことだけです——素焼きに要る600〜900℃は覆い焼きで届き、窯が狙う1100℃超は 炻器(焼き締め)のためのもので、水を溜める壺には要りません。製錬に要る高温の炉は、これとは別の 構造物です——足すなら採鉱・製錬の側が持ちます(ContentSkeleton.md 4節の 系統4)。

本節は液体を保持できる容器だけを扱います。固形物を入れる かご・箱・そりは Containers.md を参照してください(防水加工したかごは7節のとおり 本書のスコープ外です)。

容器自体が耐火性を持たなくても、焼け石を投入する「石焼き調理」で煮炊きは可能という想定です(詳細な調理系の 仕組みは別途検討)。

5. 衣類

グレード アイテム 素材(レシピ) 備考
1 束ねた葉の衣類 ヤシの葉 + 植物繊維 加工ほぼゼロ
1 生皮の衣類 生皮 縫製なしでそのまま身につける想定。劣化しやすい
2 編んだ葉の衣類 編んだ葉 + 植物繊維 編み技術が必要
2 なめし革の衣類 なめし革 + 糸(縫製、骨針が要る) 長持ちし、快適性も高い

布(紡績+機織り)は対象外としています(7節参照)。

どれも実装済みです(src/assets/world-codex/clothing.yaml)。作った物はキャラクタの装備スロットへ 入れて着られ、出せば脱げます。どれも covers: [body] と layer: base を持ち、同じ値です (../engine/GameElementDefinition.md 7.5 節の covers/layer) ——同じ部位を同じ階層で覆うので排他になり、同時に着られるのは1着だけです。 部位を分けるのも 重ね着も、衣類が増えてからでよいという判断です。 身につけられることは、どれも equippable タグで名乗ります。装備スロットはこのタグだけを受け入れます ——石もヤシの実も身につけられません(characters/player_character.yaml)。衣類でない装備(背負う 入れ物、Containers.md)が入るなら、それも同じタグを名乗ります。タグが言うのは 衣類であることではなく、身につけられることです。

保温は入りました(5.1 節)。身につけている間だけ寒さの入口(chill_point、 Characters.md)を押し下げます。

なめし革を作る工程も入りました(clothing.yaml の tanned_leather)。広葉樹から立ったまま樹皮を 剥ぎ(握りの刃が要る。柄付きの斧では帯に剥がせない。timber.yaml)、毛と肉を落とした生皮1枚を樹皮 3巻きの渋に漬けると、なめし革1枚になります。ひと剥ぎが革1枚ぶんで、木は剥いでも残ります。所要は同梱の世界で最も手間の かかる仕事(落とし穴を掘る・囲いを組む)に並べた長さで、実際のなめしは日をまたぐ漬け込みですが、 1つの工程が1時間を超えられない(../engine/ActionSystem.md 6.3節)ので、 その長さは工程の数で持っています。

5.1 保温は、手のかかる一着ほど深く寒さの入口を押し下げる

押し下げるのは、その一着が体との間に留められる空気の層です。 素材が何かで決まるので、寿命と同じく 手をかけた一着ほど深くなります——なめしにかけた手間は寿命としても効き目としても返ります。

アイテム 押し下げ 総コスト 何が層を薄くしているか
束ねた葉の衣類 −1℃ 66分 束ねただけの小葉は隙間だらけで、風がそのまま通る
生皮の衣類 −2℃ 123分 皮は風を通さないが、乾いた生皮は固く体から浮く
編んだ葉の衣類 −3℃ 277分 編んだ面は形を保って沿うが、素材は葉のまま
なめし革の衣類 −4℃ 1,570分 裁って縫った革は体に沿い、隙間が残らない

両端は、空が作る気温の刻みへ合わせてあります(../engine/VitalsSystem.md 8.4 節)。素の入口は16℃で、空がそれを下回るのは涼しい季節の夜と、その薄明・雨天の昼です。

両端に挟まれた一着も、その土地ごとの気温差のどこかで釣り合います——どの一着にも、そこでちょうど 釣り合う土地があります(同 1.1 節。tests/world-codex/landTemperature.test.ts が見ます)——手をかけた一着ほど、島の 高い所で越せます。

火を置き換えはしません。 炉の暖(+8℃)は空の最も寒い夜を平年へ戻す (../engine/FireSystem.md 9.2 節。戻り先は土地で変わります)ので、 いちばん高い一着と届く先は同じですが、そこへ着くのに1日の余剰(12 節)を上回る総コストと、 狩り・なめし・撚りの腕が要ります。それまでの夜を越すのは火のほうです。

6. 素材の再利用状況

各素材が何種類のアイテムに使われているかの、本節を書いた時点の一覧です。

素材 使用アイテム数(概算)
石 4(無柄3種+石の斧の材料)
木(小枝) 3(きりもみ式・弓錐式の火起こし具・燃料)
木(太い枝) 5(石の斧・石のハンマー・青銅の斧・青銅のナイフ・青銅のシャベルの柄)
木(長い棒) 4(木の槍・石鏃の槍・青銅の穂先の槍・掘り棒)
木(丸太) 建材(Dwellings.md)と板の材料
植物繊維 10(柄の固定・縫製・編み物・衣類の大半・弓錐・くくり罠)
生皮 2(皮袋・衣類。なめし革の元にもなる)
樹皮 1(なめし革への加工にのみ使用)
獣骨・角 3(シャベル・ピック・骨針)
銅鉱石/錫鉱石 4(青銅の斧・ナイフ・シャベル・槍の材料)
粘土 2(土器と、それを焼く覆い焼きの炉)
ヤシの実/竹 各1(既存資源の流用)

木・植物繊維・石が多くのアイテムで共有される中心素材となり、専用素材(樹皮・粘土)は最小限に抑えられています。 粘土は Dwellings.md の土壁でも使うため、用途は土器だけではありません。

7. 除外・保留にした要素

一人でのサバイバル・素材種類の抑制という方針から、以下は本書のスコープ外です(将来の拡張候補)。

8. 未決事項

9. 製塩と塩蔵

塩は天日で採る。海水を煮詰める形は採りません。 ContentSkeleton.md 4節の保存の段4にあたります。

物 素材(レシピ) 備考
塩田 石 浅い盤。海に面した土地でしか海水を汲めない。設置物
塩 塩田で採れる ひと掴み。1つで食べ物1つを塩蔵できる

塩田は罠・畑とまったく同じ「仕掛けて待つ」設備です(../engine/TrapSystem.md・ farming.yaml)。海水を1杯汲んで張り(15分、8杯まで)、強い日差しが24 tick当たるたびに1杯ぶんが塩1つに なります。24 tickは砂浜の晴れならちょうど1日ぶんで(時間帯はsalt.yamlのdrying_remaining)、 日陰の海岸や曇りの続く日は届く時間が短くなるぶんだけ遅くなります。雨は張った海水を薄めるので、 乾きかけは押し戻されます。

煮詰める形を退けた理由は、要る設備ではなく置き場所です。 海水を器へ汲む口も、煮詰め切った器から塩を 出す口も、器の側(liquid_containers.yaml)に置くことになりますが、甕の中身は既に「尽きたら空の容器へ 戻る」を持っているため、そこへ「尽きたら塩が残る」を重ねられません。焼け石 (../engine/FireSystem.md 9.1節)が沸かせるのも1個につき1杯ぶんなので、 塩田いっぱいの海水を煮詰める燃料の勘定を新しく持ち込むことになります。

塩蔵は、腐敗の速さを既にある段の中で移すだけです(../engine/DurabilitySystem.md 3節)。塩を食べ物へ重ねると、通常温度で減る速さが最も遅い段(芋と同じ20日)へ移ります。新しいレートは 持ち込みません。

実装済みです(src/assets/world-codex/salt.yaml)。塩の生理的な必要性(ナトリウム)は扱いません ——舐めて体の値が動く仕組みが無いため、塩は食べ物になりません。干し場(段2)は10節、燻し小屋 (段3)は11節が持ちます。

10. 干し場

干し場が開けるのは、腐敗の最も速い段の食べ物——生肉・獣の死体・ヤシガニ・海藻——を干物にできる ことです。 ContentSkeleton.md 4節の保存の段2にあたります。

生のまま腐る spoils_fast は、これで全数です(型では animals.yaml の raw_meat と死体、 foods.yaml の coconut_crab、voyage.yaml の seaweed)。焼いた物も同じ段に居ますが干せません ——焼くのは食べるための工程なので、焼いた物を保たせる形は作らない、という9節の塩蔵と同じ切り分けです。

物 素材(レシピ) 備考
干し場 太い枝6本 + 縄1本 立てた枝に縄を張り、切り分けた食べ物を掛ける棚。設置物
干物 干し上がった食べ物 腐敗が最も遅い段(20日)へ移る。別の型は作らない

干す仕掛けは1つだけです。 食べ物を日の当たる地面へ並べるか干し場に掛けると「干し上がるまでの 残り」が 72 で立ち、強い日差しが当たる tick だけ減ります。境目は塩田の drying_remaining と 同じ1つ(9節)なので、曇れば止まり、雨は乾きかけを押し戻します。残りを持つのは食べ物で、干し場が 変えるのは1 tick に減る量1つだけです——地面に並べると片面にしか日と風が当たらないので -1 、干し場に掛けている間は上乗せの -2 が重なります。途中で 掛け替えても進んだぶんは残ります——残りが食べ物に付いているので、場所が変わるのは減る速さだけです。 しまってある間は乾きも戻りも起きません——手に持っていても籠の中でも、並べるか掛けるかしなければ 日差しも雨も届きません。

線を引いているのは、この速さではなく腐敗のほうです。 干している間も食べ物は屋外に居るので、 屋外の上乗せ(-1)を受けたまま乾きと競走します(../engine/DurabilitySystem.md 3節)。 日差しの量と経過時間は別の物差しです——境目を超えるのは開けた土地の晴れでも1日に24 tick だけです (塩田の周期と同じ数、salt.yaml の drying_remaining)。

分類 屋外の寿命 地面に並べる 干し場に掛ける
生肉・死体・ヤシガニ・海藻 2日 届かない(晴れが続いても、干し上がる前に腐り切る) 干し上がる
空心菜・バナナ・ベリー・ヤシの果肉とゼリー 3.3日 晴れが続けば、腐り切る前に干し上がる 干し上がる
芋・ヤシの実・卵 6.7日 既に最も遅い段なので干す意味が無い(軸を持ちません) 同左

速くなること自体は値打ちではありません(../concept/DesignPrinciples.md の「悪条件は、効率を下げるのではなく、できる/できないの線で効かせる」節)。ここで速さが値打ちに なるのは、腐敗が先に線を引いていて、その線を跨ぐのが干し場だけだからです。

退けた候補もあります。

1基で段に届きます——縄が1本要るためで、囲いが丸太と縄を要して1つでも段になるのと同じ理由です (ContentSkeleton.md 4節)。同4節の1.01日は、この1基ぶんです。

素手の天日干しは、干し場が建っても残ります(../concept/DesignPrinciples.md の「後から足す手段は、既存の手段を残す強さに抑える」節)。空心菜・バナナ・ベリー・ヤシの果肉とゼリーは それで足りるので、そのために棚を組む理由がありません。塩蔵(9節)が来ても残ります——塩は1つ漬けるごとに1つ消え、 その塩は海に面した土地でしか汲めない海水を日に干して作りますが、干し場は組めば何度でも使えます。

干物は塩漬けと重ねません。 干すのも漬けるのも腐敗の最も遅い段へ移すだけで、そこが今ある段の端 だからです。干した物は塩と同じ cured タグを名乗り、塩漬けの操作そのものが現れなくなります ——止めているのは条件ではなく軸のほうで、変種の変種は作らない (../engine/GameElementDefinition.md 3.5.1節)ため、干物には cure の行き先がもう残っていません(塩漬けを二度漬けられないのも同じ理由です)。燻製(11節)も 同じ端に並びます——保存の道はどれも同じ1つの軸の上にあり、重ならないという点で揃っています。

干せるのは、干して実際に速さが移る食べ物だけです(9節の塩蔵と同じ切り分け)——殻の中のヤシの実・ 海鳥の卵・土の中の塊茎(タロイモ)は、最も遅い段に居ること自体がその殻や皮から出ているので、干す 仕事も既に済んでいます。dryable を名乗る側は、どれも干せば実際に腐りにくくなります (tests/world-codex/dryingYaml.test.ts が、名乗る型を全部回して腐敗が遅くなることと、上で名指し した側が干す軸を持たないことを見張ります)。

据える場所は縛りません。 樹冠の深い森・密林では境目を超える時間がほとんど無い (ContentSkeleton.md 8.1.2節)ので、干せないことは乾きが進まないことで 分かります——塩田を海から離して据えられるのと同じです。

実装済みです(src/assets/world-codex/drying.yaml)。tick の数は、生肉が屋外で腐り切るまでに 貯まる日差しを物差しにして置いてあります——地面の72はそれを上回り、干し場の速さで減らせばそれに収まるので、 上の表の線がどれも出ます(tests/world-codex/dryingYaml.test.ts が、並べ始めの時刻を1日ぶん振って 確かめます)。 干し上がりを告げる仕組みはありません——罠・畑・塩田と同じ沈黙なので、見に来るまで分かりません (../engine/TrapSystem.md 5節)。

11. 燻し小屋

燻し小屋が開けるのは、日差しの要らない保存です。 干し場も塩田も強い日差しを当てにしているので (9節・10節)、曇りが続く日・夜・樹冠の深い土地では保存の手が止まります。煙は日差しを当てにしない ので、そこが開きます。ContentSkeleton.md 4節の保存の段3にあたります。

物 素材(レシピ) 備考
燻し小屋 太い枝6本 + 編んだ葉 + 縄2本/保存の腕が basic 枝の骨組みを編んだ葉で囲い、底で火を燻らせる。設置物
燻製 燻し上がった食べ物 腐敗が最も遅い段(20日)へ移る。別の型は作らない

燻し小屋は炉です。 薪をくべる口も火種を落とす口も炉から継ぐので (../engine/FireSystem.md 2節)、この設備が自分で名乗るのは 火力の上限1つだけです。上限は種火の段の中に置いてあり、熾火の段へ届きません——熱を子へ渡すのは 熾火より上の段だけなので(同7節)、吊るした食べ物が焼けないのは、条件で止めているからではなく、 そこまで火が育たないからです。炉の梯子は既に「火力の上限と、火に何を載せられるか」の2つで差を 付けている(焚き火は器を載せられず、覆い焼きは土器しか受けない、同6節)ので、ここも同じ2つだけで 分かれます。

干し場より遅く、その代わり時刻も天気も選びません。

進む条件 掛かる長さ 代償
干し場(10節) 強い日差しが当たっている 日差しの当たる帯の中でだけ減る 建てるだけ
燻し小屋 火が生きている 96 tick。時刻を選ばないので、経過時間そのままの1日 薪と、保存の腕

晴れた日に掛けるなら干し場のほうが速い、というのが燻し小屋の引き換えです。持ち込むのは速さでは なく、曇っても夜でも樹冠の下でも同じに進むこと1つで、そこが干し場を残す線になります (../concept/DesignPrinciples.md の「後から足す手段は、既存の 手段を残す強さに抑える」節)。一度に扱える数は干し場と同じです——そこまで差を付けると、遅いだけの 設備になります。

保存の腕(Skills.md 2節)を読む唯一の側がここです。 解放を要求しない入口——塩漬けと 干し場——が手前に在るので(同 2.4節)、燻製は塩蔵の後ろに来ます——段の順序どおりで、循環もしません。

干し場も塩蔵も残ります(../concept/DesignPrinciples.md の 「後から足す手段は、既存の手段を残す強さに抑える」節)。晴れた日に干し場へ掛けるほうが速く、薪も 要りません。塩漬けは設備も待ち時間も要らず、その場で1つずつ漬けられます——そしてそれが、燻し小屋を 建てるための腕を繰り返し伸ばせる唯一の道でもあります(干し場を組む工程も伸ばしますが、建ててしまえば 作り直す理由がありません。Skills.md 2.4節)。

燻製は塩漬け・干物と重ねません(10節と同じ理由で、行き先が同じ段の端だからです)。保存の道は どれも同じ1つの軸(cure)の上に並びます。

1基で段に届きます——編んだ葉と縄2本が要るためで、干し場が縄1本で段に届くのと同じ理由です (ContentSkeleton.md 4節)。同4節の2.09日は、この1基ぶんです。

実装済みです(src/assets/world-codex/smoking.yaml。tests/world-codex/smokingYaml.test.ts が 上の線を全部確かめます)。

12. 効果値と工程の時間は、1日の余剰から逆算する

物の値は、1日の余剰——生存に要る労働を払って残る時間——のうち、その物が食う割合で決めます。 余剰は891分で、stats/balance.yaml の object_costs がその分母で日数を出します(../diagnostics/BalanceStats.md)。

12.1 持ち物1つの維持は、1日の余剰の5%まで

寿命は素材が決め(../engine/DurabilitySystem.md 2節)、 手間はレシピが決めるので、この2つを割れば「その物を持ち続けるのに1日いくら払うか」が出ます。

1日あたりの維持 = 総コスト(object_costs.total_minutes) ÷ 寿命日数

線は1つにつき余剰の5%です。 手に持てる枠をすべて傷む物で埋めても、余剰の半分には 届きません——枠数はキャラクタごとに決まる(characters/)ので、数ではなくこの形で持ちます。

この線は測って出しました。 編み籠は総コスト333分で 寿命10日です。この線を引いた時点(2026年9月)で最も高くついた持ち物が 編み籠だったので、そこへ余裕を足したところに線を置いています。

逆向きにも使えます。 素材で寿命が決まっている物では、余剰の5% × 寿命日数 がレシピに許される総コストの 上限になります——短命な素材で作る物ほど安くなければならない、という形で、素材と手間が噛み合います。

線を越えていないことは tests/world-codex/weatheringYaml.test.ts が全数で見ます。 傷む物を足した人も、 レシピの材料を増やした人も、越えればそこで落ちます。

12.2 工程の長さは、ここでは決めません

1つの工程が払わせてよい時間の線は、余剰から逆算しません。 工程は途中で止められない (../engine/GameElementDefinition.md 11.3節)ので、線を決めるのは 「その日の余剰のうちどれだけを食うか」ではなく「プレイヤーの手がどれだけ止まるか」です。線は1時間 (../engine/ActionSystem.md 6.3節)で、そちらが余剰のどんな割合よりも ずっと手前に在るので、ここで別の線を引いても働きません。

長い仕事は工程の数で表します——なめしは、毛と肉を落とす手から揉んで乾かす手までの並びになっています(5節)。

12.3 防御力は置きません

受け取る仕組みがまだ無いためです。 怪我は獣の側が候補として持ち(../engine/HuntingSystem.md)、 着ている物は一切読まれません。読む側が入るまで、身につける物は防御力を名乗りません (../concept/DesignPrinciples.md の「画面に出す形が決まっていない値は、 まだ入れない」節)。保温はこの線を越えました——受け取る側(chill_point)が入ったので、押し下げる側を 書いてあります(5.1 節)。