ゲームの終わり方

概要

本ドキュメントは、1 周回がどう終わるかを決めます。島からの出航を唯一のエンドとし、その前後——船を 用意する意味、出航前後に置く試練、持ち帰れるもの、周回をまたいで残るもの——を扱います。

決めないことは、終わり方から見た使い方以外のすべてです。アーティファクトの具体的な種類と配置は docs/world/、航海中に働く飢え・渇き・怪我の挙動は VitalsSystem.md、荒天の発生は ClimateSystem.md、海図に何が載るかは ExplorationSystem.md、残量や推定日数の表示は docs/ui/ が持ちます。

実現方法は Voyage.md が持ちます。筏・海区・本土はいずれも資源の無い location で、海区は地上の土地と同じ explorable を名乗ります——進みは見張り(explore)で 現れた航路を渡ること、到達は move です(12 節)。新しい文法はどれも「世界にただ1つ 在るものを指す」ためのものです(Voyage.md 概要)。使うのは地上の探索と道の 仕組みそのもので、航海専用の仕掛けは足しません。

在処は src/assets/world-codex/voyage.yaml(筏・海区・航路・本土)・artifacts.yaml(持ち帰る物)・ timber.yaml(船の材料)、棚が src/save/Shelf.ts、検証が tests/world-codex/voyageYaml.test.ts です。

本ドキュメントは大半が検討結果です。確定しているのは 8.1 節(1 周回の長さは実測に合わせる)・ 12.5 節(引き返し)・12.8 節(外洋を海区の連なりとして持つ)だけで、他の節は暫定です。 実装状況は別の軸で、骨組み(1・2・4・6・8 節)と 11 節の沿岸航海、 12 節の海区の網・海図(12.6 節)・荒天の押し流し(12.4 節)は実装済み、残りは未実装です。どの節が未実装かは節ごとに記します。未決事項は 未決事項・今後の検討課題にまとめています。

1. 周回の終わりは出航だけとする

エンドは島からの出航ひとつだけとし、永住エンドは設けません。

建築物の完成をもって永住達成とする形は、すでに満たしている条件に対価を払わせ、その見返りに周回を 終わらせるだけになります。プレイヤーから見た収支が一方的な損になるため、達成する動機が構造的に 生まれません。これはコストの調整では変わりません。

島に住み続けること自体は禁じません。ただしそれは達成ではなく、出航しなかった結果として存在します。 棚(6 節)に何も並ばないことだけが、出航との差になります。

2. 船はモニュメントではなく乗り物とする

出航に必要な船は、脱出できる実力を示す記念物ではなく、航海に実際に使う乗り物とします。

建造コストは「終わらせる権利の代金」ではなく、航海を成立させるための必要経費になります。船の 積載量・耐久・速度はそのまま航海(3 節)の難易度に効きます。

3. 試練は出航準備と航海の二段とし、どちらも既存の遊びの強度を上げる

出航は周回の終幕ではなく最終章の開始とします。試練は島での出航準備と外洋の航海の二段で構成し、 どちらも新しい遊びを持ち込まず、それまでの遊びの強度を上げる形にします。

終幕で新しい能力を要求すると、周回を通して積み上げた判断が最後の場面で無効になります。問題になるのは 難しさではなく不連続さです。とりわけ、移動・探索・資源獲得を取り上げることで難しくしてはいけません。 それらを奪うと、それまでのゲームの中心にあった「世界を自分に必要な形へ変換する」という行為の対象が 消え、配給と時間が過ぎるのを待つことだけが残ります。

本土に着いた後は描きません。到達をもって周回が終わります。

3.1 出航準備を島の試練とする

外洋を渡り切るだけの水と、航海の日数ぶんの食料を揃え、それを食べ続けられる体で出ることを、島側の 試練とします。

どれも島の生産能力に対する負荷として現れます。運搬できる形で水を確保すること、腐らせずに食料を保つ こと、積み上がった備蓄を守ること、ビタミンの蓄えを満たしてから出ることが、それぞれ既存の仕組みへ 効きます。出航に適した季節の窓を設ければ、これが期限として働きます——ただし、今の窓は期限として 働いていません(Voyage.md 3.1 節。下の未決事項)。

「30 日ぶんを一度に揃える総力戦」ではありません。 海区の網から出る航海は 4〜6 日で (Voyage.md 3.9 節)、塩蔵の 20 日はそれを大きく上回ります。要求されるのは 量ではなく、読めない伸びをどう見込むかと、どんな体で出るかです——荒天の押し流しと引き返しが 日数を動かすので、足りないぶんは海の上の釣りが埋めます。積荷そのものが菌を運ぶので、ビタミンを 欠いたまま出れば免疫が追いつかず、初日のうちに発熱の段へ乗ります(同 3.9.3 節)。

釣りは水を解決しません。 雨水のほかに海の上で水が増える道は無いので、水だけは日数ぶんを丸ごと 積むことになります。島から積むのは、水、航海の日数ぶんの食料、突き銛の穂先の予備 (尖った石と紐)です。

ここで試されるのは、それまで続けてきた調達と保存、そして何を食べてきたかそのものです。移動も探索も クラフトも生きているため、ノウハウが断絶しません。

4. 航海の失敗を二値にせず、積荷を捨てて生き延びられるようにする

航海が苦しくなったとき、プレイヤーは積荷を捨てて船を軽くできます。軽い船は速く、速いほど水と 食料が保ちます。

失敗が判定の目ではなく、海の上で下す決断として表れます。何を捨て何を守るかを選ばせることが、この 場面の主題です。

罰は死ではなく持ち帰れた数で支払われます。準備不足は「積みすぎた」「出るのが遅かった」として、 プレイヤー自身が説明できる形で表面化します。

すべてを捨ててなお水が尽きる場合に死にます(8 節)。引き返して島へ戻る手も残りますが、その代償は 戻るぶんの時間です(12.5 節)。

5. 出航地点はプレイヤーが選び、その差は出航前に見えるようにする

海に面した土地ならどこからでも出航でき、地点によって航海の距離と危険度が変わります。その差は 出航前に読める形で提示します。

すべての海岸が同じなら、選択は常に「拠点から最も近い場所」に決まり、判断が消えます。差があっても それが見えないなら運になります。見えている差だけが、資材の運搬コストと航海日数を秤にかける判断に なります。

地点差を持たせる仕組みは要りません。 出航地点ごとに違うのは、そこから漕ぎ出したときにどの海区へ 立つかだけで、距離はそこから本土までの残り海区数、危険度は通ることになる海区の顔ぶれ——未知の海区が いくつ挟まるか、実りの薄い海区を通るか(12.1 節)——として出ます。距離も危険度も、地点が持つ パラメータではなく海区の連なりの帰結です(12.5 節が沿岸航海と最終航海の差について言うのと同じです)。

海図の完成度が上がるほど、この見積もりの精度が上がります(9.1節)。探索が終わり方へ効く経路をここに 置きます。

差は出航前に読めます。 海岸ごとに立つ海区が変わり、本土までの残り海区数もそこから決まります (Voyage.md 3.6 節)。その数を海図が幅つきで持ち(12.6 節)、岸へ繋いだ筏の札が そこから推定日数を出す(9.3 節)ので、どの海岸へ運ぶかを漕ぎ出す前に秤にかけられます。

6. 周回をまたいで残るのは、持ち帰ったアーティファクトの棚とする

アーティファクトは全周回に共通する有限の集合として定義し、持ち帰ったものが棚に並びます。棚だけが 周回をまたいで残ります。

登場しうるオブジェクトは事前に YAML で定義されるため(GameElementDefinition.md)、 集合は自然に有限になります。1 周回の島にはその一部だけが配置され、1 周では棚は埋まりません。空きが 見えていることが、次の周回へ向かう動機になります。

出航して到達しなければ棚は増えません。これが周回を終わらせる積極的な理由になります。

7. 周回の結果に点数を付けない

到達時に総合点を出しません。残すのは棚に並んだ物と、達成したアチーブメントだけです。

合否は航海(3 節)を通り抜けたかどうかとして体験済みであり、数字で言い直す必要がありません。総合点を 置くと、遊びが合計値を上げる作業に寄ります。

アチーブメント(すべての動物を飼いならす、すべての作物を育てる等)は、周回をまたいで永続する記録と します。その周回の点数計算には用いません。

【いつか: アチーブメント】 棚が既に周回をまたぐ動機を担っているので、記録そのものは後から足します (Someday.md)。

8. 死は周回のロストとする

プレイヤーが死ねばその周回は失われ、棚は増えません。

1 周回はうまく行った場合でも数か月ぶんの長さです(8.1 節)。この長さでロストを課すため、死は読めない 判定の結果であってはなりません(3 節・4 節・9 節)。

8.1 1 周回の長さは、作る物の量から出た実測に合わせる【確定】

1 周回の長さは、作る物を積み上げて出た日数をそのまま想定にします。想定を先に置いて、そこへ届く まで作る物を増やすことはしません。

想定の側を長く置くと、差を埋めるために作る物を増やすことになります。増やす理由は遊びの側から 出るべきで、想定との差から出るべきではありません。

出どころ: #656(1 周回の長さは実測に合わせる)

8.2 今の実測はどこの日数か

8.1 節から導いたもので、覆すのに人間の判断は要りません。

今の実測は ContentSkeleton.md 8.3 節の日数で、日数はその書き写し ですから、骨格が動けば一緒に動きます。ゲーム内 1 日に要る実時間は測っていないので、実プレイ時間の 想定はまだ置けません。

9. 必要な準備量をプレイヤーが見積もれるようにする

出航前に、何をどれだけ積めばよいかをプレイヤーが見積もれる必要があります。

3 節の構成を採っても、必要量が読めなければプレイヤーは準備できないまま最終章へ入ります。読めるように することが、終幕を成立させる条件です。読めないまま出ることは選べますが、それは無謀を選んだのであって、 情報を与えられなかったのとは異なります。

見積もれるところまで入りました。 海図が本土までの残り海区数を幅として持ち(12.6 節)、9.1 節の 段階のうち山頂からの視認と渡ることが幅を狭めます。それを今の積載で日数へ直したものが、積み下ろしの 間ずっと筏の札に出ています(9.3 節)。残る段階——海岸線の踏破と、海流・季節風の把握 (9.1 節)——はまだで、そのぶん幅は広いままです。

9.1 距離と所要日数は探索で分かるようにする

本土までの方角と残りの海区数は探索の成果として海図に記入され、そこから推定日数が出ます (12.6 節)。

情報を最初から与えるのではなく、到達すべき目標として置きます。段階を持たせます。

入っているのは、方角と山頂からの視認です。 方角だけの状態が海図の初期値で、山頂を歩き尽くしてなお海を 見渡すと、海図の一区画ずつに幅のある海区数が入ります(Voyage.md 3.7 節)。 残る海岸線の踏破と海流・季節風の把握は未実装です。渡ることは段階の外側にあります ——渡り終えた海区には幅がありません(12.6 節)。

山頂へ到達すること自体が中盤の目標になります。往復に 1 日を使う行程が要るためで、島には必ず山が ひとつあります。望遠鏡は置きません——理由は ContentSkeleton.md 5.1 節にあります。

段階が狭めていく「幅」の正体は、本土までの残りの海区数の不確かさです(12.6 節)。

9.2 消費ペースは、補給のない外出を重ねることで身につけさせる

水と食料の消費ペースは表示で教えず、補給のない行程を経験させることで身につけさせます。残量は 量のまま示し、日数へ換算して示しません。

拠点にいる限り、プレイヤーは補給と消費の短いキューを回すだけで、持ち出す量を決める場面がありません。 残量だけを見て過ごすため、1 日に何を使ったかを数える習慣がつきません。消費量は季節と活動量で変わる ので、漫然と長く遊んでも掴めません。日数へ換算して示せば読めるようにはなりますが、それは答えを配って いるだけで、見積もる力は育ちません。

必要なのは、出発前に持ち出す量を決め、途中で補給できず、結果が手元に残るという経験です。多めに 持てば余りが残り、少なければ途中で渇きます。どちらもその場で分かります。

これを段階的に長くしていきます。

中段は、島の広さでは作りません。 端から端まで日帰りで届き、泊まりがけは入れないと決めたためです (ContentSkeleton.md 8.3.1 節)。担うのは浅い洞窟の奥です——潜るには 昼でも光源が要るので、持ち出す量を決める場面が水と食料のほかにもう1つ増えます(同 3 節)。

島の広さでは作れないことは、数字で出ています。 拠点から最も遠い土地までの往復は平均 324 分、最も広い島でも 450 分で、屋外の枠 693 分から1日を賄う採取 189 分を引いた残りに、どの島でも収まります。 島のいちばん遠い隅へ行って帰っても、水も食料も持ち出す必要がありません。補給のない行程は、島を 広くしない限りこの島からは生まれません。

広くする道は採りません(ContentSkeleton.md 8.3.1 節の確定)。この節の訓練が空いたままなのはそのためで、開くのは 洞窟の奥です。

奥そのものがまだ無いので、中段は空いたままです(【いつか: 洞窟内部】、 Someday.md)。開いたときに、この訓練は探索の一部として成立します。訓練のための 専用の仕組みは要りません。

持ち出す単位は容器や食料カードの個数になるため、「この行程なら甕がいくつ」という形で記憶に残ります。 最終航海に要する量も、推定日数(9.1・9.3節)から個数として見積もれます。目盛りは出ています ——素の減りなら甕 1 つは 1.7 日ぶんで (LiquidContainerSystem.md 5 節)、そこから積む数の下限が 出ます(Voyage.md 3.9.6 節)。身につくのは、そこからのずれのほうです ——蒸発と食べ方が同じ器の保ちを縮めるので、割り算どおりに積むと足りないが経験として残ります。 画面はこの割り算をしません。

9.3 出航前に、積載に対する推定日数を示す

積み下ろしの間、現在の積載で何日かかるかを示します。賄えるかどうかは示しません。

日数は、海図が持つ残りの海区数と、現在の積載での 1 海区あたりの横断時間の積です(12.6 節)。この積が 成り立つのは、素の横断時間がどの海区も同じだからです(12.6 節)。積載が 重いほど 1 海区の横断が長くなるため(12.3 節)、必要量の計算は自己参照になります——積むほど日数が 伸び、日数が伸びるほど水と食料が要り、それがまた重くなる。この不動点をプレイヤーに解かせません。積み 下ろしのたびに数字が動く形にすれば、「アーティファクトを 1 つ足すと 2 日延びる」という形で捉えられます。

海区数に幅があるうちは、日数も幅のまま示します。 1 つの数に丸めると、粗い海図から出た見積もりが 確かなものに見えます。出す先は筏の札の桟で、積み下ろしをしている当人が答えます (CardView.md 16 節)。

風は見積もりに入れません。 wind_remaining が尽きるたびに引き直されるものを入れると、積み下ろしをしていないのに 数字が動き、幅が海図の粗さを表さなくなります。季節風を読めるようになる段階(9.1 節)は未実装です。

示すのは日数までです。重さが横断時間へ効く度合いは島の生活から学べないので教え、消費ペースは 9.2節で 身につくので教えません。足りるかどうかの判断はプレイヤーが行います。

11. 中盤から海に出られるようにする

最終航海より前に、戻ってこられる範囲の航海を経験できるようにします。

最終航海が初めての航海だと、船の速度も水の減り方も未知のまま出ることになります。中盤に戻ってこられる 航海を置けば、最終航海は「やったことのない遊び」ではなく「やり慣れた航海を、戻れない距離でやる」ことに なります。9.2節の段階のうち、船に積む形での見積もりを担うのがこの節です。

仕組みは最終航海と同じで、行き先が近いだけです(12.5 節)。ここで要るのは航海の側の作り込みではなく、 渡った先で得られるものです。それは上陸して探索できる小島と、そこでしか採れない錫鉱石にしました (Voyage.md 3.4 節)。錫は青銅のもう一方の材料なので、渡らないと道具の最終段に 届きません——海へ出る理由が、練習ではなく物になります。

どれだけの航海になるかは、出航地点が決めます(5 節)。最寄りの小島までは砂浜から 4 区間、岩だらけの 海岸から 2 区間、岸壁からは 0 区間です(Voyage.md 3.6 節)。岸壁から出るなら 「出て、上陸して、戻る」だけで済み、砂浜から出るなら 4 区間の往復になります。この節が言う経験の厚みは、 小島の側ではなく出航地点の選択に付いてきます。

12. 航海は、海区を渡ることにする

外洋の持ち方そのものは 12.8 節が決めます。

外洋を場所1つで持つと、乗り込んだ後は進みのバーが毎tick伸びるのを見ているだけになります。 海区に割ると、地上の遊び——土地に立ち、探索して道を 見つけ、選んで渡る——が、そのまま海の上で成立します。海のための遊びを作るのではなく、地上の遊びが 働く場所を海まで伸ばします。

今あるのは、顔ぶれから配った海区を、1 箇所で二手に分かれる網に並べた形です (Voyage.md 3 節)。針路の選択(12.3 節)は入りました——分かれ道が盤面に出て いて、近道と遠回りは通る海区の数と顔ぶれで違い、風は航路ごとに効きます(同 3.2 節)。同じ風でも、 その辺が本土へ近づく側か遠ざかる側かで受け方が分かれます。

進みが時間ではなく行為に紐づくことが、この組み替えの要です。時間が進みを運ぶ限り、退屈を消す手は 「時間を飛ばす」しかなくなります(DesignPrinciples.md の 「時間経過に任せる区間を作らない」節)。

12.1 海区での手は、地上の土地での手と同じ

見張りは探索そのものです。1 回 15 分(1 tick)で進捗が 1 つ進みます (ExplorationSystem.md 2 節)。進捗が必要値に達すると、その海区から 出る航路が現れます(同 3.2 節)。地上で道が探索の成果であるのと同じく、海では航路が探索の成果です。

地上と違うのは、何も見つからない回があることだけです。 地上の探索は 1 回で必ず 1 つ以上を返しますが、 それを海でも保つと海が豊かになりすぎるので、海の卓にはハズレの候補を置いてあります (Voyage.md 3.3 節)——目印の無い海区では、その候補しかありません。

見張りが返すものは次のとおりです。

食料の当てを海区に置いたままにするのは、そこが読めなさの出どころだからです (Voyage.md 3.9 節)。銛は群れへ当てたときだけよく獲れ、群れが立つのは 沿岸・潮目・岩礁の 3 顔ぶれだけです——どの海区を通るかは針路の選択で、群れが出るかは渡り切るまで 確定しません。だから食料を積む意味が残ります。

どの海区に何が多いかは海区ごとに違います。 実りの濃い海区と薄い海区の差は、地上の土地と同じ つまみ(ExplorationSystem.md 2 節の「発見量のつまみ」)で表します。 差を付ける目的は、通る場所を選ばせることです——最短の航路が最も実りが薄い、という配り方をします。

海区に何 tick 留まるかはプレイヤーが決めます。航路が 1 本見えた時点で渡ってもよく、進捗を上げて 別の航路を探してもよく、見張らずに釣っていてもよい。「この土地をもう 1 回探索するか、次へ移るか」という 地上の判断が、そのまま海の判断になります。

12.2 海区は、そこから何が見えるかで見分ける

海区にはそれぞれ違う名前を置き、着いた時点でどこに居るかが分かるようにします。

海は現実には見分けが付きませんが、見分けの付かない盤面では判断ができません。道のカードは fixtures の中で並び替わるため、名前が無ければ進んでいるのか戻っているのかすら読めなくなります (DesignPrinciples.md の「見分けの付かない場所を作らない」節)。

名前の出どころは、そこから見えるものです。島影の見える沿岸の海区は面する土地から採り、外洋の海区は 海の側の特徴——岩礁、海鳥の群れる岩、海藻の帯、潮目——から採ります。見れば分かるものから採るので、 名前を得るために探索する必要はありません(地上の土地と同じです)。

12.3 針路は、風が横断時間へ与える差から選ぶ

風向きは速さの係数ではなく、どの航路が今いくらで渡れるかを決めます。 同じ風でも航路の向きに よって追い風・横風・向かい風が分かれるので、「遠回りだが今なら短く渡れる航路」と「最短だが今は 長くかかる航路」が同時に盤面へ出ます。

選ぶ相手も、航路ごとの風も入りました(12 節)。辺の伸びている方角は、行き先と今いる海区の「本土まで あと何海区か」の差が言います(Voyage.md 3.2 節)——分かれ道の近道は本土へ近づく辺、 遠回りの入口は沖へ出る辺なので、向かい風の日は遠回りのほうが短く渡れます。積荷の重さも同じ場所に 効きます——重いほど横断が長く、捨てれば短くなります(4 節)。

ただし短く渡れるのはその 1 区間だけです。 通して渡れば遠回りのほうが必ず長くかかるので、風が 選ばせているのは「今この辺を渡るか、風が向き直るまで待つか」であって、どちらの針路を採るかでは ありません(Voyage.md 3.9.1 節)——針路を分けているのは、その先の海区が返す 実りのほうです。

風で航路を塞ぎません。 塞げば選べるものが消え、風が変わるまで待つ以外に手が無くなります。 時間が伸びるだけなら、向かい風でも押し切る手が残り、待つ手と天秤に掛けられます。待つことも選べ ますが、待っている間も水と食料は減り、明るいうちは見張りが続きます (Voyage.md 3.10 節)——待ちは時間を飛ばすことではなく、その海区を探索し 続けることです。

横断時間は、漕ぎ出すときの風で決まります。渡っている最中に風が変わっても伸び縮みしません。選んだ 時点で結果が確定するので、針路の判断が博打になりません。

判断の刻みは二重になります。 1 tick(15 分)ごとに海区での手(見張る・釣る・休む・積荷を捨てる)を選び、 数時間ごと——1 海区を渡り終えるたび——に針路を選びます。地上で探索と移動先の選択が別の刻みを 持つのと同じ形で、海のためだけの間隔は置きません。

12.4 枯れるのは水と食料、悪化するのは積荷と季節と海図の空白

海の上で枯れるのは積んだ水と食料で、補給は釣りと雨水しかありません。 残量は基本的に減り続けます。 緊張はここから来ます——制限時間ではなく、残量と両側の海区数(戻り何海区/進み何海区)の差し引きです (12.5 節)。

水と食料は同じ細さではありません。 水を増やす道は雨水だけですが、食料は魚の群れに当たれば 3 日ぶんが 一度に入ります(Voyage.md 3.9 節)——当たるかどうかが針路で決まるぶん、 食料の残量は水より大きく振れます。 群れの出ない区間が続けば、丸一日釣っても 1 日ぶんに届きません。

悪化するものは次のとおりです。

荒天は、渡る手を止めるのではなく押し流します。風下の海区へ移され、そこが未知なら海図が広がります。 罰が時間の損ではなく位置の変化になるので、プレイヤーは盤面を組み直すことになります——止められると することが無くなりますが、動かされると考えることが増えます。見張りと釣りのほうは嵐で止まります (Voyage.md 3.10 節)ので、嵐のあいだ航海が進むのは、既に見えている航路を 渡るときだけになります。

12.5 引き返しは常に選べ、代償は時間だけ【確定】

島へ引き返すことは、航海のどこからでも選べます。代償は来た航路を戻るぶんの時間——水と食料—— だけで、積荷は失いません。 沿岸航海と最終航海は同じ仕組みで、出航のときにどちらを行うかを 宣言しません——沿岸に留まるか外洋へ踏み出すかは、海の上で決まります。

引き返しを禁じると、決断が「外洋へ踏み出すか」の 1 回に圧縮されます。しかもその 1 回は「もう戻れない」 と知ったうえで下すので、踏み出した後の航海のどこからも判断の軸が 1 本消えます。常に選べるなら、海区を 渡り終えるたびに「残りの水」対「戻り何海区/進み何海区」を秤にかけることになります。

この秤は釣り合いません——戻りは既知で、進みは推定です。 来た航路の数は数えてありますが、本土まで の残りには海図の幅があります(12.6 節)。海図をよく作ってから出れば押し切れ、粗いまま出れば引き返しを 迫られます。探索が終わり方へ効く経路が、5 節に加えてここにも通ります。

「代償無しで戻れる」は、専用の規則を足さずに潰れます。 追い風で外洋へ出たなら、同じ航路を戻るのは 向かい風です(12.3 節)——行きが順調だったぶんだけ、戻りが高くつきます。 引き返し不能点は盤面に 引いた線ではなく残量の中にあり、プレイヤーが自分で計算します(9.2 節)。

積荷を代償にしません。 捨てるのは進むための選択(4 節)であって、戻るための罰ではありません (DesignPrinciples.md の「失敗の罰に、同じ作業のやり直しを課さない」節)。 重い船は戻りも遅いので「捨てれば早く帰れる」という圧力は自然に生じますが、選べる形で残します。

分けない理由は、分ける具体例が挙げられなかったことです。行き先が違えば着いた後が違いますが、それは 場所の性質(本土に着けば周回が終わる、小島には探索できる土地がある)であって、航海の仕組みの差では ありません。距離の差もパラメータですらなく、海図の上でどこにあるかの帰結です。

出どころ: #656(引き返しは常に選べ、代償は時間だけ)

12.6 海図に要る精度は、残りの海区数

海図が持つべき精度は、本土までの残りの海区数です。日数ではありません。

分岐が入った今、海図が言うのは最短の残り海区数です(Voyage.md 3.7 節)。 遠回り(12.3 節)を選べば実際の区間はそのぶん増えますが、それは海図の粗さではなく針路の選択なので、 下の幅には混ざりません。

日数は、海区数と「今の積載で 1 海区にかかる時間」の積として出ます(9.3 節)。積載の側に不確かさは 無いので、推定日数の幅は、そのまま海区数の不確かさです。 9.1 節の段階は、この幅が狭まっていく 過程として働きます。

海区数で足りるようにするために、素の横断時間はどの海区も同じにしてあります (Voyage.md 3.2 節)。海区ごとに違えば、渡る前に知りようがない差が距離に混じり、 海区数を知っても日数は決まりません——距離の差は残りの海区数だけが持ちます。

渡った海区は海図に残ります。沿岸航海(11 節)で海に出るほど、最終航海の見通しが良くなります ——海に出る理由の 1 つがここにあります。

海図は海区の側が持ちます——海区ごとに「そこから本土まで何海区か」の下限と上限があり、記入が 進むほどその幅が狭まります(Voyage.md 3.7 節)。海図という物は作りません。 画面へ出すのは筏の札で、日数へ直したものだけです(9.3 節)——海区数そのものも、その土台の真値も 出しません。

12.7 海区には物を置く枠を設けない

海区は物を置ける場所にしません。見張りで見つけた拾い物は、その場に置かれずプレイヤーの手に 入ります(12.1 節)。

置ける枠を作るかどうかは、置いてほしい物ではなく置けてしまう物で決まります。水面に物を置く枠を 作れば、漂流物や流木だけでなく積荷の石も置けてしまいます。置けてはいけない物があるなら、条件で 弾くのではなく枠そのものを作りません。

航路・魚の群れ・小島は設置物なので、この節の対象ではありません——変わるのは拾い物の行き先だけです。

身にも船にも積む余裕が無ければ、その物は手に入りません(海面に残して後で取りに来ることはできません)。

12.8 外洋は、海区の連なりとして持つ【確定】

外洋を1つの場所ではなく、「海区」の連なりとして持ちます。航海は、海区に立って見張り、 見えた航路を選んで渡ることの繰り返しになります。漂っているだけでは1海区も進みません。

出どころ: #656(外洋を海区へ組み替える)

未決事項・今後の検討課題